日本医学脱毛学会
Japanese Society of Hair Surgery & Medicine
1.下腹部・ビキニライン・陰部
A.下腹部
1)特徴
臍周囲から下着上縁までの範囲の目立つ毛を脱毛します。この範囲の軟毛は硬毛化しやすい。
2)脱毛日程
同一部位は1〜2ヶ月間隔で脱毛して行きます。
3)手技の実際
1.氷冷却法にて脱毛します。
2.対極板は臀部に置きます。
3.スキンマーカーにて脱毛部にマス目を引きます。
4.第1回目は、間引き脱毛(2本に1本の脱毛)を行ないます。第1回目に脱毛しなかった毛をシェーバー等にて剃ります。約1ヶ月後に第2回目の脱毛をし、この時から生えている毛は全て脱毛して行きます。
5.硬毛に対してはS3410針、S4010針を使用し、通電出力6,通電時間は1/2秒〜1秒とします。軟毛に対してはU2707針、S2707針にて、通電出力6,通電時間1/2秒〜1秒にて脱毛します。
※ 参考として、7・1/2〜1/4秒、7.5〜8・1/4秒も、有りかと思います。 L針・C針を使用して、6・1/2〜1/4秒で行なう事も可能でしょう。太い針で出力を落とす方が絶縁の持ちが良いようです。ただし、慣れるまでは基本に忠実が良いでしょう。
B.ビキニライン・陰部
1)特徴
硬毛は太くて毛根が長く、毛根傾斜が小さいので脱毛が難しい部位です。毛乳頭の俯瞰線処置(不完全電気凝固)のため、埋没毛を作りやすい。発赤消失に時間がかかります。
2)脱毛日程
約3〜4週間毛を伸ばし、第1回目脱毛(間引き脱毛)を行ないます。脱毛しなかった毛は剃るか短く切ります。約1ヶ月後に第2回目脱毛。第3回目以降は、1〜2ヶ月毎に脱毛を行ないます。
3)手技の実際
1.氷冷却法にて脱毛します。
2.ビキニラインの場合、アイスパックにより下着がぬれるので、患者に水着かレオタードなどを着用させます。第1回目から終了まで同じものが望ましい。
3.対極板は大腿部に置きます。
4.患者は普通、少し内側まで希望しますので、ガーゼなどで2ヶ所程しばり、水着の左右を縮めておくと脱毛しやすい。脱毛前に患者と脱毛範囲をよく話し合う事。
5.膣、肛門周囲の脱毛の希望をする場合は水着を取ります。肛門周囲、陰部脱毛の場合は砕石位で行なう。体位の工夫は大切です。肛門、膣周囲の脱毛の際は、局所麻酔を使用する事もあります。皮膚を充分に伸ばした上で、針をスムーズ刺入させます。
6.硬毛に対しては、S3410針、S4015針、S4520針、L4010針、L5015針などで毛に合わせて使用し、通電出力6、通電時間は1秒とします。通電後、抜けにくい時は、注意しながら再度刺入、通電を試みます。必ず、毛の下側から毛根に沿って刺入する事。毛はねているにもかかわらず、毛に沿わず、深めに刺入しやすい。
局麻した際には、L4010針、L5015針、C(K)3011針、C(K)4012針、C(K)5012針などにて通電時間1/2秒〜1秒、出力7で脱毛します。
C(K)型針にて毛根傾斜の小さいビキニライン毛を脱毛する時は、皮膚表面を損傷する可能性がきわめて強くなるので、熟練者が熟練者が注意して行なう事。
軟毛に対しては、S2707針、S3408針を使い、通電出力6、通電時間1秒とします。
7.第1回目は無理をせず、間引き脱毛を行ないます。
8.ビキニラインは、発赤遅延、硬結、埋没毛などのクレームが発生しやすい部位であり、また腋毛と同様に術者により結果に差がでやすい部位なので、熟練者がすべきです。氷冷却法では特に5回目位からは、新しい針を使い拡大鏡下にて熟練者が皮膚状態を見ながら、通電時間を長めにします(硬毛の場合は1秒×1の2方向刺入)と結果が良い。
なお、埋没毛に対しては、11番メス先などで小切開し、メス先や有鉤細部鑷子で毛を外に引き上げた後、通常の脱毛を行なう。