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                                             平成26年6月4日
                                            日本医学脱毛学会

日本医学脱毛学会による合意声明
―エステ脱毛について―
 
・平成13年11月に厚労省から発せられた医政医発第105号通知(参考資料1)にある「用いる機器が医療用であるか否かを問わず、レーザー光線又はその他の強力なエネルギーを有する光線を毛根部分に照射し、毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊する行為は、医師が行うのでなければ保健衛生上危害の生ずるおそれのある行為であり、医師免許を有しない者が業として行えば医師法第17条に違反する」ことの意義を再確認し、厚労省には無資格者によるエステ脱毛を厳しく取り締まるよう要請する。
 
・エステ脱毛においては、制毛(off hair)や一時的な除毛・減毛などの表現が用いれ、公益財団法人日本エステティック研究財団による臨床試験の実施要項では、「90%以上毛が再生する機器に関しては、毛の再生機構を破壊せず、副作用のない機種である」(参考資料2、NPO法人 日本美容皮膚科研究会発行の機関誌JADSに掲載されている文献より)、すなわち無資格者がエステで使用しても安全であるとしているが、臨床試験のプロトコルや安全であるとする根拠について不明確であり、検証する必要がある。
 
・エステ脱毛で用いられている光脱毛器(DEKA社、イタリア)では、照射後1か月で94%〜94.4%が再発毛すると記載されている(参考資料2)。ということは、エステ脱毛は実際には剃毛と同じぐらいの効果しかないということになる。とするとエステサロンは顧客にこれを正確に伝え、施術前の同意書にこれを記載する必要がある。また消費者は本当にこれを理解し納得した上で施術を受けているか検証する必要がある。
 
・Web上のアンケート調査(対象者は20歳代、30歳代、40歳代の女性、各200名、合計600名)によると、消費者の約半分がエステ脱毛で永久脱毛ができると考えていると言う結果が出ている。従ってエステ業者は顧客の誤解を解くために、エステ脱毛では上記のようにあくまでも一時的な脱毛で、ほとんどの毛は再生することについて、広告やホームページにおいても「エステ脱毛は90%以上の毛が再生する施術で、永久脱毛は期待できない」ということを明記するべきである。
 
・一方で同調査によると、エステ脱毛を受けた約半分の消費者で永久脱毛が得られたとしている。と言うことは、実際は強力なエネルギーを照射して脱毛していることが推測され、これについて検証する必要がある。
 
・日本エステティック振興協議会(参考資料3)による、「美容ライト脱毛安全講習会」を受講したエステティシャンの認定、「美容ライト脱毛機器適合審査」に適合した脱毛機器の認証、そして今回実施されるエステサロンの認証などは、無資格者によるレーザーや光脱毛行為を推奨していることになり、施術者は医師法及び脱毛機器販売業者は薬事法に抵触する可能性があるのでその実態を調査するとともに、厚労省には厳しい取締りを要請する。
 
・エステ脱毛については、平成13年11月に厚労省から発せられた105号通知の後で、平成14年には経産省から「エステティック事業における適正な施術の在り方について―美容レーザー脱毛とケミカルピーリングの適正な施術の在り方について―」(参考資料4)が、平成16年には東京都から「エステティックサロンにおけるレーザー等を利用した脱毛機の安全性について」(参考資料5)という報告が出されており、これらはいずれもエステ脱毛を認めた上での報告となっている。と言うことは厚労省から出された上記通知を完全に無視したものであり、厚労省には経産省や東京都と協議して、レーザー光線又はその他の強力なエネルギーを有する光線を用いた脱毛はあくまでも医療行為であると言う共通認識の下に、エステ脱毛の実態の把握と規制について厳重に対応して頂くよう要請する。
 
・またエステ脱毛業者による広告やホームページには、極端に安価な施術費用や消費者に永久脱毛を思わせる文言が表示されており、景品表示法の優良誤認、有利誤認に該当すると思慮される。消費者庁には、景品表示法等に基づいた取り締まりを厳しく実施されるように要請する。
 
・日本医学脱毛学会の中に、エステ脱毛による被害者救済を目的とした消費者相談センター(仮称)を設ける。
 
・日本医学脱毛学会は日本美容医療協会などの関連団体と協力して、消費者に対する啓蒙活動を今後も継続していく。
 
 
参考資料
・「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」厚生労働省医政局医事課長、医政医発第105号通知、平成13年11月8日
・美容機器を用いた制毛処置における臨床的、組織学的検討:尾見徳弥、他、日本美容皮膚研究会誌(JADS)、1:24-28、2008
NPO法人 日本美容皮膚研究会は学術団体と言うよりはエステ業界の団体であり、この文献を手に入れることは困難であると思いますので、本文の要旨を以下に記載します(参考資料6 ウィズ・アスのホームページで一部を見ることが出来ます)。
「DEKA社製のレーザー・ホワイトライト(P.S.クリプトンとM.S.F.T.クリプトンの2機種)による脱毛効果を、正常健康人20名の腋窩で検証した結果、いずれの症例においても照射後の合併症は認めず、照射後1か月における非再生率(脱毛効果)は、P.S.クリプトンで6%、M.S.F.T.クリプトンで5.6%であった。また5名の披験者で生検を行った結果、毛乳頭、皮脂腺開口部に組織学的な障害は認めなかった。従ってこれらの機種は美容機器の基準に合致している。」
また、公益財団法人日本エステティック研究財団による臨床試験の実施要項(2002年12月5日)については本文献の9)として掲載されていますが、検索をしても見つかりませんので、臨床試験のプロトコールを本文献から引用します。
「同一照射野に3回照射し、3回目照射後8週、16週、24週後のいずれかの時期に90%以上毛が再生した機種に関して、毛の再生機構を破壊せず、副作用のない機種としている」但し臨床試験の詳細、またこのような機種であればエステ脱毛で使用しても良いと言う根拠は明確でありません。
・日本エステティック振興協議会
・「エステティック事業における適正な施術の在り方について―美容レーザー脱毛とケミカルピーリングの適正な施術の在り方について―」経済産業省サービス産業課、平成14年3月
・「エステティックサロンにおけるレーザー等を利用した脱毛機の安全性について」東京都商品等の安全問題に関する協議会、平成16年7月
・ウィズ・アスhttp://www.withus-corp.jp/support.html

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