日本医学脱毛学会事務局

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4.顔面(髭・眉・睫毛・耳介・前額部)



 顔面の毛は軟毛(うぶ毛)が硬毛に変わりやすい部位です。特に副腎性器症候群などのホルモン異常の女性の売位は、軟毛の硬毛化が永続する様です。脱毛回数はおのずと多くなりますが、脱毛後の皮内炎症や一時的な皮膚の硬化を考慮して、脱毛間隔は2週間以上おくのが望ましい。脱毛は全ての部位において氷冷却脱毛を行い、2〜4回目までは間引き脱毛を行なうのが原則です。なお、顔面の脱毛は熟練者のみが脱毛を行ないます。

 

A.女性のヒゲ

1)特徴

1.硬毛は口角部や、頚部に見られます。

2.上口唇部は比較的細い毛が密生しています。

3.軟毛が硬毛化しやすい。


2)脱毛日程

 脱毛前1週間、毛を伸ばさなければ脱毛が出来ないので、患者はマスクを着用しても良いです。そのため、秋から春にかけての脱毛が理想的です。続けて脱毛を行なう場合は、2週間以上間隔をおいて行なった方が良い。脱毛回数が10回〜20回と多いので、患者にとっては数年の脱毛期間が必要な場合もあります。

【参考】
 レーザー脱毛より効果的です。


3)手技の実際

1.女性のひげの脱毛の場合、毛が細くて肉眼では毛孔が見えにくいのと、絶縁部が確実に刺入されたかどうかの確認のために、必ず顕微鏡下または拡大鏡下で脱毛を行ないます。よく皮膚を伸展させて、針を刺入します。脱毛中、絶縁部の剥離状態には特に注意を要します。

2.1〜2回目は間引き脱毛(3〜4本に1本の割合で脱毛)を行ないます。消毒は弱いものを使用。0.02%ヒビテンクルコネートなど。

3.対極板は肩甲部にあて、脱毛中は頭部を動かさないように指導します。

4.ライトで眼を傷めないように、アイマスクやガーゼにて眼を覆います。

5.口角部の硬毛に対しては、氷冷却法にて、U2707針(U3408針)を使用し、通電出力を6とします。最初の1〜2回目は、通電時間1/4秒×1〜2(または1/2秒×1など)で様子を見ます。皮膚の状態が良ければ、通電時間を1/4×3〜4または1/2秒×1などに上げます。

6.軟毛に対しては、U2707針を使用し、通電時間1/4秒×1〜2、出力6で脱毛します。

7.上口唇、特に人中部の毛はさらに細く毛根が短いためU1505針を使用し、通電時間1/4秒×1〜2、出力6にて脱毛します。

8.下顎の硬毛に対しては、S3410針(S4015針)にて通電時間1/2秒〜1秒・出力6にて脱毛します。

 

 


B.男性の髭

 集族性座瘡でヒゲを剃るのが不可能、カミソリ負けをする、職業上ヒゲが不要などの理由で脱毛希望するほか、最近は、ただ単にヒゲが濃いというだけで脱毛術を希望する男性が増えています。よく患者と離話し合った上で、対処すべきです。

1)特徴

1.ほとんどすべてが硬毛で、毛の成長が早い。

2.皮内の毛根部が長い。

3.脱毛部位の範囲が広く硬毛数が多いので、毛を減らす事は出来ますが、簡単には毛を無くす事は出来ません。

4.密生しています。

5.毛球部が他の部位に比べて大きい。

6.皮脂腺の分泌が活発です。


2)脱毛日程

1.3〜4日、毛を伸ばして脱毛をおこないます。女性のヒゲに比べて反応が強いので、同一部位を続けて脱毛を行なう場合は2〜4週間以上の間隔をおいた法がよい。男性の場合、脱毛部位の範囲が広く硬毛数が極めて多いので、〈毛を減らす事はできるが無くす事は簡単に出来ない〉、また、〈毛を減らすためにも、10回〜20回程度の脱毛が必要です〉ことを患者によく説明しておく。

【参考】
 医師の判断を仰ぎ、レーザー脱毛と併用するのも良い。初めの密生しているうちは口唇部と下顎は絶縁針で間引き脱毛を数回、同時に頬周辺の密生して無い所はレーザー脱毛、その後、絶縁針脱毛かレーザー脱毛を患者の希望で行ないます。レーザー脱毛を選択した方は、1年で無くならない時は、絶縁針脱毛に戻します。

 


3)手技の実際

1.間引き脱毛(3〜4回目までは4〜5本に1本位の割りで、それ以後は2〜3本位の割りで脱毛する)を行ないます。

2.対極板は肩甲部にあて、脱毛中は頭部を動かさないように指導します。

3.ライトで眼を傷めないように、アイマスクやガーゼにて眼を覆います。

4.氷冷却法にて、S4015針、L4010針(毛根ば長い場合はL5015針)を使用します。通電出力は6,通電時間は1秒にて脱毛します。(最近はC4512針、C5015針で、出力6〜8、1/2〜1/4秒で行い、局所麻酔へ併用の場合は通電時間を長めにします。)
 なお、男性の場合下顎ブロック、オトガイ神経ブロックなどを行なう事もあります。

5.針刺入時、確実に絶縁基部までが皮内に入った時点で、針を押し付けづに通電する訳ですが、その際に通電が終了するまで皮膚を伸展させておく事が重要です。

6.顔面の場合、比較的皮脂腺が多いためも有り凝固物が針に付着する事が多い。そのままにしておくと電気凝固作用が悪くなるので、その都度丁寧に酒精綿などで拭き取るようにします。その際に悦縁部の確認も怠ってはならない。磨ききれなければ、カッターナイフできれいにします。

7.術者は常に脱毛しやすい位置に動き、手元が暗くならない様にライトの位置を工夫します。

8.局所麻酔下にて、男性のヒゲを間引き脱毛する場合、針はC(K)4012針、C(K)4512針、C(K)5012針などにて、通電時間7,通電時間1/2〜1秒にて行ないます。


【髭(ヒゲ)脱毛後の注意事項】

 顔面の場合、脱毛後2〜5日皮膚の腫脹や発赤が見られます。特に男性の場合はS(L、C)型針を用いるので、反応が強く出ます。抗生物質入りステロイド軟膏を4〜5日外用します。女性のお化粧や男性の髭剃りは翌日より注意深く行なわせます。できれば電気シェーバーを軽く使わせるのがベストでしょう。

 

 


C.眉毛

1)特徴

1.毛がねています(毛根傾斜が小さい)。

2.硬毛と軟毛が混在しています。


2)脱毛日程

 連続して行なう場合は、2週間以上間隔を置きます。4〜8回程度必要です。

 


3)手技の実際

1.眉の脱毛は発赤が続きやすく、トラブルが多い部位なので脱毛する事をあまり勧めない。もし、行なう場合は熟練者が顕微鏡下で行なわなくてはなりません。

2.脱毛前に患者と充分に話し合い、脱毛範囲をはっきり決めてから行ないます。毎回同じデザインで無いと眉が無くなってしまいます。この脱毛では輪郭を作りますので他の部位の脱毛と一番異なる点ですので、本人に眉のデザインの勉強をしてきてもらいます。また、術者にもその勉強は必要です。

3.対極板は右の肩甲部にあて、脱毛中は頭を動かさないように指導します。

4.第1回目は硬毛の間引き脱毛のみを行ないます。

5.針刺入は必ず毛の下側から行ないます。毛根に沿って針を刺入していきますが、毛がねているので、皮膚表面の電気凝固反応は強く出ます。

6.硬毛はU3408針、U2707針を使用し、通電出力6,通電時間1/4秒×1で行ないます。脱毛後の皮膚状態を観察し、皮膚反応が少ない場合は、第2回目からS針に変えるか、通電時間や出力を上げるか 、硬毛のみを脱毛します。3〜4回目から軟毛も脱毛して行きます。軟毛はU2707針を使用し、通電出力6通電時間1/4×1とします。


【参考】
 レーザー脱毛で形を作るのは難しく、失明の危険性があるので、脱毛するなら絶縁針脱毛が最適と考えます。



【眉毛脱毛後の注意事項】

1.皮膚の発赤・硬結がきわめて生じやすい部位ですので、通電時間は最小値から始めて行きます。

2.脱毛部位や額がピリピリするなどの知覚過敏を数ヶ月訴える場合のありますので、脱毛前に患者の了解をよく得た上で行なうべきです。

3.色素沈着が数ヶ月続く場合もありますので、患者にその可能性も説明しておきます。

 


D.睫毛(睫毛内反・逆さまつ毛)

1)特徴

 睫毛内反症(逆さまつ毛)の患者は、眼球に睫毛が直接あたるために痛みを訴えて来院します。唯一健康保険でできる永久脱毛の部位です。
 この様な内反症は、肉眼では見えるまつけ以外にも、メラニン色素をもたない、肉眼ではみえにくい白色睫毛も多くあります。

 


2)脱毛日程

 1〜2ヶ月に1度、46回の脱毛が必要です。

 


3)手技の実際

1.対極板は右肩甲部にあてます。

2.脱毛本数が少なければ、キシロカインゼリー塗布、ベノキシール点眼薬だけで脱毛可能ですが、多くの場合、30〜32Gの極細針にて局所麻酔し、キシロカインゼリーなどを塗布した眼球保護板を眼瞼下に挿入します。 

3.顕微鏡下(顕微鏡倍率は10倍)にて脱毛します。強拡大の拡大鏡でも可能と思います。

4.使用する針はU1505針、通電出力6、通電時間1/4秒×1とします。

5.内販毛は全て脱毛します。無色の細い軟毛を見逃さないように注意します。

6.脱毛後は外用剤は必要はありませんが、抗生剤点眼薬を処方しても良いと思います。


 


E.耳介の毛(小耳症術後)

1)特徴

1.小耳症に対して側頭部の皮膚が耳の再建に使われるので、術後耳に毛を有する患者が多い。手術が3〜5歳に行われるので、脱毛術は5〜10歳の小児に行われる事が多いです。

2.再建された耳なので、皮膚が硬い。

 


2)脱毛日程

 2〜5週毎に5〜10回位で終了します。

 


3)手技の実際

1.局所麻酔は不要で、氷冷却法にて脱毛が可能です。

2.顕微鏡下、または拡大鏡下脱毛が望ましい。

3.横臥位にて行い、対極板は肩に置きます。小児に対して行なうので頭部を動かさないように充分に指導、配慮が必要です。

4.1〜3回目までは間引き(3-4本に1本位の間隔で)脱毛します。4回目位からは生えている毛は全て脱毛します。

5.硬毛の場合S3410針(U3408針)を使用し、通電出力6,通電時間1/2秒×1とします。軟毛はU2707針を使用し、通電出力6,通電時間1/2秒×1とします。耳の皮膚を充分に伸ばして、針を抵抗なく毛根にそって刺入させる事。無理に刺入させると、U型針は細いので曲がってしまいます。

 



F.額(ひたい)

1)特徴

 狭い額を広くしたい希望のかたに脱毛術をおこないますが、毛が多く密生しているため、脱毛術はきわめて難しい。出来ても剃りを入れたようになるので不自然になる可能性があります。

 


2)脱毛日程

 月に1度位の間隔で脱毛し、5〜10回必要。

 


3)手技の実際

1.脱毛後、発赤・硬結が続きやすくトラブルの多い部位なので、脱毛する事をあまり勧めません。もし、行なう場合は、熟練者G顕微鏡下で行ないます。

2.眉毛と同様、脱毛前に患者と充分に話し合い脱毛範囲を決めます。まT,脱毛しすぎると不自然になるので注意を要します。

3.氷冷却法にて脱毛が行われますが、皮膚表面の熱傷を生じやすい部位なので頻繁に冷やしながら脱毛します。

4.初めの4〜5回は間引き脱毛を行ないます。

5.硬毛はU3408針またはS4015針を使用し、通電出力6,通電時間1/4秒×1とし、軟毛はU2707針を使用し、通電出力6,通電時間1/4秒×1とします。通電時間は最小単位(1/4秒×1)より開始し、皮膚反応の状態により、少しづつのばして行きます。


【額脱毛後の注意事項】

 眉脱毛後の注意事項と同様です。