日本医学脱毛学会
Japanese Society of Hair Surgery & Medicine
前期4単位)脱毛の皮膚反応とテスト脱毛
a. 脱毛中、脱毛後の皮膚反応
b. テスト脱毛について
・通電時の痛みの体験
・脱毛後の皮膚状態を知る
・どの位の通電時間(スピード)で1本の脱毛が出来るかを知る
・脱毛後の毛の再生程度を知る
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1.症状別トラブルの予防と対策
(1) 点状熱傷(水泡形成など)
これを防ぐには、まず 1)絶縁部の徹底した点検、2)反応の強いC(K)型針を必要以上に使用しないなどの配慮が必要です。この意味でも極力、氷冷却法によるU型針、S型針、L型針の脱毛を勧めたい。(ただし、これに関しては通電時間を短くし、出力を落とし必要以上に上げない様にすれば良いと思われます)
点状瘢痕が生じた場合には、通常の熱傷処置を行ないます。
(2) 色素沈着
脱毛部に一致して点状の色素沈着が半年〜1年と続く場合がありますが、これは皮膚表面の熱傷が原因です。色素沈着は、通常1年以上経過で消退する事が多い。
なお、埋没毛による色素沈着も見れれます。
(3) 点状瘢痕(点状色素脱)
点状瘢痕、色素脱の原因としては、色素沈着と基本的には同じですが、皮膚表面の損傷がより大きい場合に生じます。毛量が多い患者や、皮膚反応が強い患者に対しては、間引き脱毛を行なう事が目立つ瘢痕形成を防ぐ上で重要です。
(4) 凍瘡
氷冷却法にて脱毛する場合、非常に低温の氷を使用すると凍瘡をおこすことがあるので、冷凍庫でアイスパックを作る場合は「弱」目盛りにしておきます。アイスパックの表面の霜をきれいに取り除き、1分間放置した後に使用するという配慮も必要です。なお、最近、医療業者が液体窒素などを使用した冷凍スプレーによる冷却器を脱毛時の疼痛緩和のために宣伝していますが、マイナス150〜170℃の極低温になり極めて危険で、使用法を少し間違えただけでも凍傷を起こしますので一切使用しない方が良い。
凍瘡が生じた場合は、通常の凍瘡処置を行ないます。
【テスト脱毛をする:患者に対して、脱毛体験をしてもらう】
1. 患者に対して、脱毛に対して理解(脱毛原理と毛周期等、採血の必要など)と、トラブルの可能性などの説明をする。
2. 施術の承諾書をもらい痛みの体験と脱毛スピードなどの体験をしてもらいます。
3. 脱毛後の経過を見たい人は数日〜数週間経過を見せて、納得したかたへは、次に感染のチェックの採血をします。
4. 採決後1週間位ですべてのデーターが揃うので、その後から脱毛術の予約を受けます。
【参考】テスト脱毛の目的(医院側の立場からの例ですので患者には見せない)
1) 医院の患者になるように導くこと。
・時間を取る訳ですからその腹積もりで行なう。
・決して強制はしないで、納得してから申し込ませる。
・そのために医療機関で行なう事は、大事である事を以下の様に説明して行く。
2) 脱毛は医療であることの説明
・一度来院した方をエステに行かないようにすることは大事で、本来エステは脱毛するところではない事を説明する。
・清潔不潔の問題は医療機関でないと無理であることの説明。
○ 針では刺す、焼却することは医療機関で無いと出来ないことの説明。
○ 感染(梅毒、B型肝炎、C型肝炎、エイズ、等の予防)危険。
・針は本人専用となり、二重に名前を書いてさらに滅菌して保管すること等の説明。
・レーザーでも、毛穴に傷を付けているので、清潔操作は必要であり、感染のチャンスは針と同じようにある事を理解させる。ポップアップの事から説明すると、わかってもらいやすい。毛孔に傷を付けているのであって、浸出液も出るし、逆に感染を受ける可能性もある事を説明する。
・法的に永久脱毛は医療機関でしか行なえない事の説明。
3) 脱毛を理解させること
・ 皮膚内を焼却することで脱毛できるので、それにまつわるトラブルは生じる可能性があること。
・実際に見せて理解させる。実際に本施術時は痛みを連想するので、その時は見せないことも説明する。
・色素沈着、痂皮形成、アレルギー反応・・・など。
・焼けた毛根に抗体ができて、遅延型アレルギーで2〜3週後に発赤が出ることもありうる。
・脱毛後の注意事項の説明。
・脱毛本数は言わない、皮膚状態や部位などで異なるため、前回の施術者と比較されて、施術者が慌てると、通電途中で針を抜去してしまい、絶縁針の意味がなくなりトラブルを生じてしまうので、その場では伝えない。どうしても知りたければ後で医師から伝えるからと診察の予約をしてもらう。
・・・などの説明。
4) 料金体系の説明
・ 表を見せながら、それそれの説明し、料金トラブルをさける。
・ その中で、採血は1年に一回はすることや、他医院やエステで脱毛をされると感染されているか分からないので、4ヶ月受けられないか、1ヶ月後に採血して4ヶ月目にも採血する2度採血になる可能性の有る事を説明。
5) 感染症の採血チェック
・納得出来た方はその場で採血をし、1週間後以降で予約をして頂く。
・テスト脱毛部位の様子を見たい方は、次は採血予約からにして頂く。
・採血項目は、血算・梅毒(PRP法、TPHA法の2種など)・HBs型抗原・HCV抗体CLIA法など・HTLV1抗体(ATLA)PA法など・HIV-抗原抗体、と5項目の感染症をスクリーニングとして調べます。
・年に1回は採血検査する事を伝えます。
6) 予約、キャンセル、遅刻は施術予約の15分前に受付を済ませないと遅刻になることの説明し、遅刻料金やキャンセル料金がかかる可能性のある事を説明する。脱毛以外の事で料金発生する可能性を十分に説明し、空き枠にならないようにしっかりと予定に入れて頂く。